setTimeoutを使う時に引数に関数を渡すけれど、コールバック関数が全然わからない。
関数の引数に「関数」を渡せるってどういうこと?
JavaScriptの勉強を進めていくとほとんどの初心者がぶつかってしまう壁「コールバック関数」について解説していきます。
特にフロントエンドの開発をするときは、「setTimeout」を使って指定した時間が経過してから任意の処理を実行したり、
クリックしたとき、マウスが動いたとき、画面をスクロールしたときなどに何かしら動きをつけたい時に、
この「コールバック関数」を使うためこのコールバック関数を理解するだけでも開発のスピードはガラッと変わってきます。
コールバック関数を具体的に理解するためには「高階関数」、「無名関数」という概念をしっていると頭に入りやすいです。
「高階関数」も「無名関数」も、言葉の響きこそむずかしそうですが、ひとつずつ見ていけば難しくない概念なので一つずつ説明していきますね。
実際のサンプルコードをまじえながら今回は以下の内容で話を進めていきます。
- 高階関数とは
- 無名関数とは
- コールバックでは無名関数がよく使われる
高階関数とは
コールバック関数の説明をする前に「高階関数」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
Wikipediaより: 高階関数
高階関数(こうかいかんすう、英: higher-order function)とは、第一級関数をサポートしているプログラミング言語において、関数(手続き)を引数にしたり、あるいは関数(手続き)を戻り値とするような関数のことである。
むずかしい言葉で説明されていますが例えると、「A関数をB関数の引数に渡すことが出来る」と言うことです。
この説明でもまだわかりづらいと思うのでサンプルコードを使って説明していきます。
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// A関数(コールバックとして実行される関数) function hello() { // 実行されたら"hello"と出力する console.log('hello'); } // B関数(コールバックを実行する関数) function execute(callback) { // コールバックの実行 callback(); } // hello関数を引数にして、execute関数を実行する execute(hello); |
上のサンプルコードでは「hello」関数はコールバックで使う関数として定義されていて、
「execute」関数が引数にコールバック関数を受け取りexecute関数内部でコールバック関数を実行しています。
実際のコードの流れは以下のようになります。
- 14行目で「execute」関数を実行。その際に引数として「hello」関数を渡す
- 8行目の「execute」関数が呼ばれて、引数の「callback」変数には「hello」関数が入る
- 10行目で「callback」変数の内容は「hello」関数であるため、「callback()」のように「()」(カッコ)をつけて関数を実行する
- 2行目のhello関数が呼ばれる
- 4行目のconsole.log関数で “hello” という文字列を出力する
関数は変数に代入できる
先程の流れを「②」の内容を確認すると、「hello関数」は「callback変数」に代入されていることがわかります。
「関数」を「変数」に代入できることを「第一級関数」であるといいます。
JavaScriptは関数を変数に入れることが出来るので、さきほどのWikipediaの中で説明されていた「第一級関数をサポートしているプログラミング言語」ということになります。
実際に先程のサンプルコード内で定義されていた関数を全て変数に格納した場合は次のようになります。
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// A関数(コールバックとして実行される関数) const hello =function() { // 実行されたら"hello"と出力する console.log('hello'); }; // B関数(コールバックを実行する関数) const execute = function(callback) { // コールバックの実行 callback(); }; // hello関数を引数にして、execute関数を実行する execute(hello); |
ここでは2行目と8行目に注目してください。
2行目も8行目も「function hello() {…}」を「const hello = function()」のように関数を変数に代入しているのですが、
赤い線を引いたところが消えて、代わりに青い線の部分に関数名が移動しています。
このことからわかるように関数を定義する時に関数名を省略して書くこともできるのです。
このように関数名を省略して書いた関数を「無名関数」と呼びます。
無名関数とは
では、この無名関数を先程のサンプルコードで作ったらどんなことが起きるでしょうか?
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// A関数(コールバックとして実行される関数) function () { // 実行されたら"hello"と出力する console.log('hello'); }; // B関数(コールバックを実行する関数) function (callback) { // コールバックの実行 callback(); }; // 変数名も関数名もないため2行目と8行目に定義した関数を呼び出す手段がない ?? |
上のサンプルコードの13行目のコメントを読んでいただくとわかると思いますが、定義した関数を呼び出す手段が無いので一生実行することはできません。
「一生実行することが出来ない」となると書きましたが、定義する場所によっては呼び出すことが可能です。
その「無名関数を実行することができる場所」がコールバック関数となります。
先程のサンプルコードを無名関数を使って書いた場合は次のようになります。
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// A関数(コールバックとして実行される関数) // 11行目のexecute関数の実行の引数に直接埋め込んだため、hello関数(A関数)は不要となり削除した // B関数(コールバックを実行する関数) function execute(callback) { // コールバックの実行 callback(); }; // hello関数(A関数)を無名関数にしたものを直接、execute関数の引数に渡している execute(function() { console.log('hello'); }); |
上のサンプルコードを見ると11行目に無名関数が使われています。
コードの流れは以下のようになります。
- 11行目でexecute関数を実行する。その際に引数に無名関数を渡す。
- 5行目のexecute関数が呼ばれ、渡された無名関数がcallback変数に代入される
- 7行目でcallback変数に代入されている無名関数が実行される
- 11行目の無名関数が実行される
- 12行目のconsole.logが実行されて “hello” が出力される
ここで注目していただきたいのが②の無名関数が引数として変数に代入されているところです。
これにより無名関数を呼び出す手段が手に入ったので無名関数を実行することが出来るようになります。
コールバックでは無名関数がよく使われる
フロントエンド開発をしていると、「setTimeout」や「addEventListener」などコールバック関数を使う場面がよく出てきます。
- setTimeout : 指定した時間経過後にコールバック関数を実行する
- addEventListener : クリック、キーボード、マウス操作などユーザーが何かしらの動作をしたときにコールバック関数を実行する
このときにコールバック関数として使われる関数には「無名関数」が使われることが多いです。
過去に次のサンプルコードのようなコードを見たり書いたりしたことは無いでしょうか?
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// 1秒後に "こんにちは" という文字列をアラートに表示する setTimeout(function() { alert('こんにちは'); }, 1000); // HTMLのタグの中で id="button" の要素がクリックされたら //「クリックしました!」とアラートに表示する const button = document.getElementById('button'); button.addEventListener('click', function(event) { alert('クリックしました!'); }); // JQueryを使って id="target" の要素がクリックされたら //「Handler for .click() called.」とアラートに表示する $( "#target" ).click(function() { alert( "Handler for .click() called." ); }); |
上のサンプルコードの最後のJQueryを使ったものは、実際に「JQueryのclickのドキュメント」で例として使われているコードをそのまま貼り付けたものです。
このようにコールバック関数を使う際には無名関数を使う場面が多くあります。
引数に直接「無名関数」を埋め込んでコールバック関数をセットすることになれると、非同期関数(Ajax)を使ったコードもスラスラと書けるようになります。
非同期関数の説明だけでもかなりのボリュームになってしまうので、別の記事で非同期関数について説明したいと思います。
非同期関数を使って非同期通信が出来るようになると、TwitterやFacebookなどが提供しているAPIを使えるようになり、
将来作ろうとしているサービスアイデアの幅も広がるのでプログラミングがもっと楽しくなりますよ^^
まとめ
最後にこの記事で学んだことをおさらいしましょう。
- 高階関数は「引数に関数を受け取る関数」のことである
- 「関数」を「変数」に代入できることを「第一級関数」という
- 無名関数とは「関数名が省略された関数」のことである
- 引数(変数)として「無名関数」を受け取ることで、引数(変数)を使って受け取った無名関数を実行することができる
- フロントエンド開発ではコールバックを使う場面が多く、そこで無名関数が使われる
コールバック関数はJavaScript初心者が避けては通れない壁の1つですが、このコールバックを理解するとプログラミングの幅が一気に広がります。
コールバックに関して「高階関数」「無名関数」の説明とサンプルコードを交えて説明してきましたが、一回で理解するのは難しいかと思います。
「この部分がわからない」、「これについてもう少し具体的に説明して欲しい」などありましたら、
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今回の記事の内容以外でも、プログラミングの学習方法・Webに関しすることなど幅広く小さなことでも質問を受け付けてますので、
こんなこと質問しても良いのかなと不安に思っている方は以下の記事を参考にしていただけたらと思います^^